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桃太郎の落とし噺

桃太郎の落とし噺

 

落とし噺とは、最後にオチがつく滑稽な話を指します。落語の演目のなかで圧倒的多数を占めており、落語の本来の呼称でもあります。落とし噺の落ちは、意外性や皮肉、言葉遊びなどによって笑いを誘います。

 

落語家は、落ちを予想させないように巧みに話を展開し、最後に聴衆を驚かせたり、笑わせたりします。ここでは、昔話の「桃太郎」に関連する落とし噺を紹介します。

 

桃太郎の一行は、谷渡りの一本道にさしかかりました。丸太の橋がかかっているだけで、足を滑らしたら、深い谷底に真っ逆さまです。

 

まず、はじめにキジが渡りました。というより飛んで渡るので、楽勝です。次に桃太郎は、お手本を見せるかのように慎重に渡りました。心配だった次の犬は、案外足取り軽く難なく渡りました。

 

最後にサルの番です。

「木登りは得意だ。横になった木なんて、ちょちょいのちょい。あっ!」

過信が災いして、サルは、足を滑らしてしまいました。

 

とっさに桃太郎は、サルの手をつかまえました。サルは、桃太郎に懇願しました。

「桃太郎さん、放さないで! お願いだから、はなさないで」と。

 

「わかった。はなさないよ」

「本当にはなさないでね」

「ああ、もう話しません」

ということで、この続きのお話は、話しません。おしまい。

 

author:トムテのマスター, category:パネルシアター, 10:52
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